使用法と安全性のFAQ
フィラリア予防薬やノミダニ駆除薬には多くの種類があります。
これらの薬は一般には極めて安全ですが、下記の注意をよくお読みの上でご使用ください。

<フィラリア予防薬をあげるタイミングは?>
愛犬家ならご存知の通り、投薬のタイミングは『蚊が発生してから一ヶ月後から、蚊が見えなくなってから一ヶ月後まで』です。
蚊が飛んでいるのに気付いたら投与を開始した方が安全でしょう。
日本の南部や都会地域では蚊の棲息期間が長くなっているようです。お住まいの地域によって7~8ヶ月与えた方が無難です。
なお、沖縄地域では通年投与が必要です。他の地域でも通年投与が理想です。
どの種類の蚊もフィラリアを媒介します。

<薬のあげ方は?>
錠剤は犬の口を開いて指で押し込み、犬に呑み込ませるのが普通ですが、犬が喜んで食べる一口分の大きさの柔らかい食べ物中に入れてしまっても構いません。
ただ、この時は犬が異物に気付いて錠剤だけ吐き出すことがあります。
必ず目の前で与えて、犬が確実に食べたことを確認してください。
チュアブルはほとんどの犬が喜んで食べてくれますが、完食の確認は必ずしてください。
滴下剤を使用するときは薬剤がきちんと犬の皮膚に届いていることを確認してください。また、人や犬の口や眼に入らないように注意してください。万一薬剤が人の皮膚や眼に触れたときは必ず水でよく洗い流してください。

<薬を分割して与えるのってあり?>
個人輸入の強みは何といっても飼い主さんの自己責任で薬の種類や投与方法を選んだりすることが出来ることです。
自己責任でお使いいただく以上、私達は「分割投与は駄目です」といえる立場にはありません。
(メーカーや動物病院などの販売者は普通そんなことは言いませんが、これは安全面への配慮ではなく彼らの利益面への配慮です。
利益が減ってしまうことは私達でも同じですが、だからと言って駄目ですといえないことは申し上げたとおりです。以下は一般論としてご理解ください。)

経口フィラリア予防薬(ノミマダニ駆除薬も)の成分は胃の中で溶けてしまっても胃を荒らすことはほとんどないので表面はコーティングされていません。
つまり、大きな錠剤を分割して与えても消化過程に変わりはなく、したがって効果にも変わりはありません。
ただし、コーティングしてある薬を分割するのに問題のあることがあります。
コーティングすることで胃で吸収されることを防ぎ小腸で吸収されるようにすることで薬の効き方や効く時間を調整することがあるからです。
コーティングしてあるものを割ってしまうと薬本来の機能を発揮する障害になったり、胃を荒らしてしまうような副作用が生じることもあります。


ただし、自己責任である以上、次のことは必ず守ってください。
<必要投与量を間違えない!>
イベルメクチン製剤(ハートガード、ハートゴールド、フェアプライス、バリュハートなど)の場合、必要投与量は体重1kgあたり6㎍(マイクログラム)です。
そういうと分かりづらいですが、小型犬用には68㎍のイベルメクチンが含まれているので上限の体重11kgの犬でも6㎍以上が確保できるように設計されています。
ですから、体重5kg以下の超小型犬や仔犬の場合には、二つに割って与えても必要量は確保できることになりますが、ギリギリの量を与えることになるので、
完食は絶対条件です。イベルメクチンは与えすぎても害はありませんが、不足すると完全な駆除ができないおそれがあります。くれぐれもご注意ください。
ノミマダニ駆除薬の場合は投与量が足りなくても深刻な被害はありませんが、「30日はつかないはずのノミがその前についていた」なんてことはありえます。

<残りの薬剤の保管方法に注意する!>
薬剤のほとんどは増量剤で出来ているので、放置すると水分を吸って形状が崩れたりカビが生じたりすることがないとはいえません。
必ずきちんとラップをしてから冷蔵庫など直射日光の当たらない冷暗所に保管してください。イベルメクチンは直射日光で劣化するといわれています。

<薬の保管方法は?>
使いかけの残りでなければ室温保管で大丈夫です。ハートゴールドのように剥き出しで届けられるものについては最初に使っていない薬瓶などで保管してください。
お子さんやペットの手の届かないところに保管してください。
実際に私達が経験した例でも、飼い主さんがチュアブルを置き忘れたため、犬がそれを見つけて全部食べてしまったということがあります。
6回分の投与量を一回に食べてしまっても別に危険はありませんがもったいないですよね。

<薬をあげてはいけない犬は?>
フィラリアの成虫の存在が予想される犬(今まで予防薬を与えていない犬に今回初めて使用するような場合、野良犬を保護して飼育するような場合)には慎重な投与をしてください。
このような場合には動物病院などで成虫の駆除を優先した方がよい場合があります。
http://www.kusuriyasui.biz/heartworm.html
また、コリー系の犬にイベルメクチンに対する過敏体質を持つものがいると言われています。コリー系の犬に初めて投薬するのであれば、万一を考えてモキシデクチン(商品名プロハート・アドボケート)の方がいいかもしれません。

<投薬を忘れてしまったら?>
フィラリアの予防薬は1ヶ月間隔での投与が指示されていますが、これは大きな安全値をとってあり40日程度の間隔があいてしまっても効果はあります。(飼い主さんの与え忘れや、投与するタイミングに犬の体調が悪い場合などが考えられます。)
蚊から犬に移ったフィラリア幼虫はその後50日近くを犬の皮膚の毛細血管中で成長を続けますが、幼虫がまだ毛細血管にいる間は投与が遅れても駆除できるからです。(毛細血管にいる間の幼虫は犬にとって無害です。)
もし投与を忘れてしまったら、すぐに投与をしてください。その後の間隔をつめて与える必要はありません。投与した日から1ヶ月後を目安に与えてください。

<体調の悪い犬には?>
投与予定当日に体調が悪い犬(元気がない、下痢をしている、咳をしている、よだれが出るな普段と違う症候を見せている)場合には、ためらわずに投与を延期してください。
フィラリア予防薬の投与時期は熱中症になりやすい時期とも重なります。
投与前後の犬には過激な運動をさせない方が無難です。
申し上げたように投与が数日遅れても駆除効果に不安はありません。

<他に持病を抱えている犬には>
フィラリア予防薬は慢性的持病を持っている犬にも投与しなければならないことがほとんどです。
軽微な持病よりもフィラリア感染の方が犬にとってずっと危険なことも多いからです。
フィラリア予防薬を投与することによって慢性的持病が悪化することはあまり考えられませんが、持病の内容、程度によっては専門医にご相談ください。

<老犬には?>
体力の落ちている高齢犬に投与する時は慎重にお願いします。
例えば高齢犬には時々見られる僧坊弁閉鎖不全症があります。
超小型犬により多く見られますが、その症状は咳をしたり腹水がたまるなどフィラリア感染症によく似ています。
その名のとおり心臓の僧坊弁が上手くしまらなくなってしまう症状で、フィラリア成虫が心臓に達すると引き起こす害と同じです。
ですから、フィラリア感染していないのに同じような症状が出てしまうのです。
このような犬にフィラリア予防薬を与えると、そこに因果関係がなくても、数の中にはたまたま当日に発作を起こすこともないとはいえません。
毎年フィラリア予防薬を与えているのに、高齢犬がフィラリアに似た症状を示すようになったら、フィラリア予防薬投与前に獣医師の診察をお勧めします。

<子犬には?>
生後6週間~8週間以上の仔犬に与えることが出来ます。それ未満の仔犬に予防薬を与える必要はありません。
生まれた当日に蚊に刺されて感染したとしても、40~60日以降の投薬で間に合うからです。
また、生後60日くらいまでは子犬を表に出すことも少ないので、フィラリア予防薬は1回目のワクチン接種が終わってからの投与でいいと思います。

<妊娠中・授乳中の母犬には?>
普通の犬と同じように与えてもらって問題ありません。


<副作用にはどんなものが?>
特に初回投与時に過敏反応してしまう症状を示す犬が少数(5%)存在しますが、症状(下痢、吐きもどし、元気消失、よだれなど)は軽微で一過性です。
気になる飼い主さんは最初に与えるときだけ、適正投与量の1/4程度を与えて数時間様子を見てみてください。

<副作用はよく起きるのですか?>
農林水産省動物医薬品検査所が公表している副作用情報データベースには1993年から2003年まで11年間に、フィラリア予防薬の副作用についての報告が掲載されています。
http://www.maff.go.jp/nval/iyakutou/fukusayo/jyohou/3353.html
ご覧いただければ数字的にフィラリア予防薬が如何に安全かお分かりいただけると思います。
オーストラリアでは長年、動物病院だけでなく一般薬局や届けを出したペット用品店でも販売されていますが、別に安全上の問題は起きていません。

このデータベースは全国の獣医師が投薬後副作用と思われる症状に遭遇した時に、薬品検査所に報告するものです。
日本には動物病院が約10,000あり、年間300万頭の犬がフィラリア予防をしていると言われています。
300万頭の犬が副作用報告のある6年間で年に6回(6ヶ月)飲むとすれば、投与されたフィラリア予防薬は延べ108,000,000錠分になりますが、これは日本の全人口の80%以上の人が1錠ずつ飲んだのと同じ数字になります。
その膨大な投与数の中で報告された副作用例は経口薬では20件程度で死亡例は数例、しかも薬を与えた当日に他の病気を発症しているなど薬との因果関係が不明のものがほとんどです。
死亡例の1件は親犬に与えるべき予防薬を体重数百グラムの幼犬に誤って投与したもの、また他にも小型犬が嚼まずに呑み込んでしまったチュアブル(おやつタイプ)が腸でつかえてしまって閉塞を起こしたものと報告されている(消化されていないので薬成分による副作用ではない)など、投与の時に普通に気をつければ防げたものも多くあります。