フィプロニル製品(フロントライン・プラス、スポットオン)の取り扱い中止について

フィプロニル(フロントラインの主成分)をペットのノミダニ駆除に使うことは以前から悩ましい問題でした。
微量でも環境破壊につながるフィプロニルを使わないで済めばその方がよいに決まっていましたが、スピノサドが発見され実用化されるまで、フロントラインほど幅広く勝れた効果を示す製品が他になかったからです。
実際、個々の消費者からみれば、フロントラインを使うことのメリットは生態系破壊の可能性というデメリットを大きく上回ります。
農薬と異なり、個々の消費者が犬猫のノミダニ駆除に使用するフィプロニルの量は微々たるものですし、体外に排泄されたフィプロニルがすぐに環境破壊につながるものではありません。
問題は医薬品の副作用はメリットを受ける服用者が受けるのが普通なのに、効率的なノミダニ駆除というフィプロニルのメリットは消費者が享受しながら、フィプロニルによる被害を受けるのは使用する消費者ではなく、多くの昆虫を殺されてしまう生態系そのものだということです。
しかし、数年前からスピノサドという成分が注目をされるようになりました。
スピノサドはサトウキビ畑の土壌からから発見された微生物が産生する有機物を量産したものです。
生物の作った天然の駆虫剤ですから、もちろん有機物であり、成分は一定期間ののちには分解して自然に還ります。
スピノサドの主な用途は農薬ですが、フィプロニルなどの化学合成農薬と異なり土壌や水を汚染しないため、食用植物の栽培に使用しても「有機栽培」と表示することが出来ます。
一方でフィプロニルは化学合成品であり、天然には存在しません。犬猫に使用しての効果は一ヶ月間ですが、これはフィプロニルが分解して効果を失うわけではなく、体外に排出されるからに過ぎません。フィプロニルは安定した化学化合物であり、自然環境の中で着実に蓄積されます。EU諸国ではすでにミツバチが激減してしまった原因の一つとしてフィプロニルによる二次汚染を認定し、農薬への使用が禁止されています。
(フィプロニルは成分が植物に吸収される浸透性農薬で、花粉に含まれる微量のフィプロニルが致死性であるほど多くはないもののミツバチの神経を麻痺させ、帰巣本能を失わせることでミツバチの個体数を激減させているのではないか、と考えられています。日本でもフィプロニルを水田に使用した地域では、水流に含まれたフィプロニルが赤とんぼの幼虫のヤゴを実に1000分の1(0.1%)にまで激減させ、結果「赤とんぼのいない里」を作ってしまったことが報告されています。

翻って、私達のビジネスの側面からフロントラインをみてみましょう。
フロントラインはペット医薬品の中では抜群の知名度があり、確実に売れる製品です。そのために価格競争も厳しい側面がありますが、今でも売って売れない製品ではありません。個人輸入の場合は動物病院の一般的価格の半分近い値段で販売しているのですから、動物病院からの切り替える消費者も多く、むしろ今だに成長市場です。
一方で、知名度が高く多くの受注が見込まれるフロントラインを同じサイトで販売していたら、せっかくフィプロニルに代る毒性の少ないスピノサド製品が紹介されても、それが普及しないであろうことは眼に見えています。
自然環境に優しく、効果的にもフィプロニルに勝る代替品が出現した以上、私達がその製品の普及のためにフロントラインの扱いを停止するのは、当然の結論と言えます。

「微量だから問題ないよ。」とおっしゃるお客様の考えはごもっともです。
フィプロニルの農薬使用が禁じられているEU諸国でも、ノミダニ駆除用の製品は販売されています。
しかし、私達は毎年何千人ものお客様にフィプロニル(フロントライン)をお届けしてきました。
個々のお客様の使用量は微量でも、その合計(私達の販売量)は決して微量ではありません。
極端な例ですが、私達は自分の国の過去においても現代の紛争地域でも、「自分の国や家族を守るため」と信じて多くの人達が戦争に駆り出され、敵を殺したり、敵に殺されたりしていることを知っています。この人達は被害者といえるでしょう。しかし、「国のため」と宣伝して多くの人達を戦争に送りこんだ人達は加害者だろうと思います。

当然ながら、私達は農薬について多くの知識を持ちません。
不十分な知識のままでフィプロニルの殺虫効果を宣伝してその使用を奨めることは、どうやら後者のような気がしてなりません。

原発稼動問題と同じで、立場が違えば考え方も違います。フィプロニルの環境汚染を重要な問題と考えない業者さんもたくさんいらっしゃいますし、事実もっと差し迫った環境汚染問題もあります。どちらが正しいかという二者択一の問題ではありません。
しかし、その中で私達は私達の独断でフロントラインの販売中止を決めさせていただきました。
私達は原発が再稼動すれば、その電力だけを使わないでいることはできませんが、フィプロニルを使わないでもノミダニ駆除はできるからです。
今までさんざん販売しておきながら一方的にそれを停止する身勝手はまことに申し訳ございませんが、引き続きフロントラインの使用を希望されるお客様には他の業者からお買い求めいただきますようお願い申し上げます。

(幸いなことに、フロントラインは国内の通信販売でも購入することができ、価格的にも内外格差は大きくありません。
フロントライン単体の購入であれば、むしろ国内の通販業者を利用するほうが経済的な上、納期も早く、税関で保留されることもありません。フロントラインを扱う国内通販業者は、検索エンジンで「フロントラインプラス 通販」をキーワードにすれば、すぐに見つかります。)


参考ページ

ネオニコチノイド系農薬、フィプロニルをめぐる内外動向
http://inasaku.or.tv/kenkyujo/130404mizuno.pdf


ヨーロッパのハチに朗報!「ハチ大量死」農薬の追加規制が決まる
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/45966/

ネオニコチノイドとフィプロニル
http://kokumin-kaigi.sakura.ne.jp/kokumin/wp-content/uploads/Neonicotinoid_j201011.pdf

月間農業2011年6月号
http://www.ruralnet.or.jp/gn/201106/akatonbo.htm


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